北海道の開拓史に、依田勉三という男がいます。現在の帯広 (オベリベリ) の礎を築こうと、人生のすべてを捧げた人物です。
彼の事業への執念は、狂気的とすら言えます。過酷な未開の地でひたすら未来を信じ、土地を切り拓きつづけました。常人には理解しがたかったに違いありません。しかし、あれほどの情熱を注いでも、彼の事業は成功を収めることなく終わります。
彼の生涯は失敗だったのでしょうか? 私は違うと思います。彼の燃えるような生き様が教えてくれるのは、ほとばしる熱量こそが何かを成し遂げる原動力だということ。そして、どれだけ心血を注いでも、最後は運やタイミングに左右されるという人生の真理です。
私に彼のような器はありません。すべてを投げ打ってでも成し遂げたいと願う心持ちが自分にあるかと問われれば、正直、自信はありません。
ただ、北海道の魅力に憑りつかれてしまったのは奇しくも彼と一緒です。こうなったら心血注いでやってやるしかありません。
依田勉三の拓いた大地は、長い時を経て、豊かな実りをもたらしています。彼のようには決してなれませんが、とにかく悔いのないように生きるのみです。